前回めでたく(?)療育手帳を取得できた息子ですが、今回は具体的にどんなメリットがあるのかをご紹介していきます。まず参考に、療育手帳の現物をお見せしますね。
カバーの表面です。カバーデザインは各都道府県によって異なるのかな。免許証や保険証などとほぼ変わらないカードサイズです。
反対の面は身分証になっていて、顔写真と名前と生年月日、発行元の県名と公印が印字されています。顔写真については、本来”脱帽した正面向きの写真”を使わなければいけなかったのですが、思いっきり帽子をかぶった写真です。ほかにまともにまっすぐ向いた写真がなかったのでダメ元でこれを提出したのですが、子供だから許されたのでしょうか…
中に判定の記載があります。療育手帳は数年ごとの更新があるので、右側のページには判定を記入する欄が複数設けられています。息子は次の更新は2年後と言われていますが、個人差や地域差があるかもしれません。
療育手帳で受けられる支援制度
前の記事で掲載したものですがもう一度載せておきます。
軽度に該当するのは「B2」の欄になります。B2で対象になるサービスについてのみ以下で説明していきますが、今回は子供には該当しない項目(※障害基礎年金や雇用保険など)の説明は省略します。
特別児童扶養手当
障害児を扶養する家庭に支給される手当金です。(以下、特児と略します。)
軽度判定だと「一部該当」とありますが、軽度知的障害の症状だけでは実質該当しないのが実情のようです。
軽度知的障害で給付を受けている事例を個人ブログなどで探してみましたが、私が確認した限りすべての例で身体障害や内部障害など他の障害を併発していましたのでほぼ確実かと思います。
支給金額は1級で月額52,500円、2級だと34,970円になります。2級該当でも月額でこの金額はかなり大きいですから、条件が厳しいのは仕方がないことだと思います。
各種税金の控除
前述の特児など、他の福祉サービスを受給するのに療育手帳の取得は必須ではありません。診断書など別の書類で審査に通れば利用可能ですが、税金の控除は手帳所持が条件となります。
そのうち、手帳所持者を扶養する家族が無条件で該当するのは所得税と住民税の控除です。扶養する障害者一人につき27万円(住民税は26万円)の控除が受けられます。重度以上の判定の場合は”特別障害者”として40万円(住民税は30万円)の控除が受けられます。
自動車関係の税金控除は大体中度以上が該当で、事業税、相続税や贈与税は普段の生活にはあまり関係がないので、上記2種の控除が主なものです。
大したメリットではないように思うかもしれませんが、所得をもとに計算される保育料(副食費など)が減免されたり、収入が多くて子供関係の手当てがギリギリで対象外になってしまうご家庭なら、この控除があることで手当の対象になる可能性もあります。
公共交通機関の運賃割引
各運営会社ごとに割引内容が異なりますが、JRの場合、軽度障害者で適用されるには「単独で乗車し、かつ移動距離が100キロ以上」というのが条件なので、子供のうちは実質適用される機会はなさそうですね。
※参考:障害者割引制度のご案内(JR東日本公式)
NHK受信料の減免
軽度の手帳所持者が世帯に含まれる場合、適用になる条件は以下の通りです。
【全額免除】
世帯構成員のどなたかが、障害者の手帳(身体障害者手帳、療育手帳(または判定書)、精神障害者保健福祉手帳)のいずれかをお持ちで、かつ、世帯全員が市町村民税非課税の場合
年金生活の両親+障害のある子どもという世帯や、生活保護世帯などなら該当になりそうです。フルタイムで働く家族が一人でもいたらまず該当にはならないですね。
ちなみに半額免除の場合は、世帯主かつ受信契約者が視覚・聴覚障害者であるか、障害の種類にかかわらず重度判定の手帳を持っている場合が該当になるとのことです。視覚や聴覚に問題があるとテレビを楽しむには制約があるでしょうから、その辺はきちんと考慮されているんですね。
※参考:NHK公式サイト(よくある質問集)
県立施設の入館料の免除
こちらは手帳所持者なら無条件で適用になります。ただ、県立施設は公費で運営されているためそもそも料金が安く、特に未就学児の場合は初めから無料だったりするので今のところは使う機会がなさそうです。小学生以上になると便利かもしれません。
障害者扶養共済制度
親が亡くなった後に障害のある子どもに定額の年金が支給される制度です。掛け金は契約者の年齢で決まっていて、年金額は1口につき月額2万円です。(2口まで契約でき、その場合は年金額も2倍になります)手帳所持者であれば等級は問わず加入可能です。掛け金全額が税金の控除対象になり、受け取る年金も非課税のため民間の保険会社の商品に比べて割安です。
ただ注意が必要なのは、この共済金は「親亡きあと」の補償であることです。併発する疾患によって残念ながら親に先立ってしまうと予測される場合は加入の意味がありません。ちなみに命にかかわる疾患を併発していなくても、知的障害者は様々な理由から一般の人よりも平均寿命が短い傾向があるようで、特に親子の年齢差が小さい場合「親亡きあと」の期間があまりない可能性があります。(※知的障害者の寿命が短い理由についてはこちらで解説されています)だれがいつ死ぬか予測できない以上、保険を損得”だけ”で考えるのはナンセンスではありますが、そういった要素も考慮して検討する必要があります。
※参考1:しょうがい共済制度のご案内(独立行政法人福祉医療機構)
※参考2:障害者扶養共済制度(しょうがい共済)とは?(法律相談.jp)
その他のメリット
そのほか、私が思いつくメリットとしては以下の3点です。
●保育園の加配申請が楽
療育手帳を取る前は診断書で申請していたのですが、診断書は有料ですし、診断名だけではどういった困り感があるのかわからず、私が加配希望の理由を箇条書きした書面をつけて提出するなど結構面倒でした。療育手帳取得後は保育園の入園・継続申込書類に障害者手帳の有無とその種類を記載する欄があるので、そこに記載をしておけば別途申請が不要なので助かっています。
●特別支援学校への入学が可能になる
地域により要件は異なりますが、特別支援学校を希望する場合は障害者手帳を持っていないと入学できない地域もあります。就学先は年長時の本人の発達度合いによりますが、選択肢が増えるのはメリットだと思います。
●民間のレジャー施設での割引
有名どころでディズニーリゾートとUSJの公式サイトを確認してみましたが、両者とも手帳所持者向けの割引チケットがあります。手帳所持者本人と付き添いの大人1名が割引の対象になるようです。公営施設のように無料とはいかずとも2~3割引にはなるのでありがたいですね。両者とも手帳の等級については記載がなかったので、軽度でも手帳さえあれば対象になると思います。